今日は「節分」ですね。
節分は、「鬼(邪気)を追い払い、新しい年を迎える」意をもつ、立春の前日にあたる日。
私は子どもの頃から毎年豆まきをする環境で育ったので、未だに毎年欠かさず豆まきをしています(笑)
今夜も家族みんなでしっかり豆まきをする予定です。
豆まきといえば『鬼』。
日本では昔話の「桃太郎」、「泣いた赤鬼」、現在では「鬼滅の刃」など、鬼を題材とした物語、音楽なども少なくありません。
ちなみに子どもたちがよく歌っている「鬼のパンツ」という歌、あれは替え歌です。
原曲は、《Funiculì funiculà (フニクリ・フニクラ)》という曲名のイタリアの歌謡曲です。(ナポリ民謡でもありません。イタリアの登山鉄道のCMソングでした)
和訳では「ゆこう!ゆこう!火の山へ〜!」と歌われます。
実はクラシック音楽にも『鬼』をテーマにした作品が複数あります。
西洋では鬼といっても、トラ柄のパンツをはいて金棒を持っていたり、「ナマハゲ」のようないわゆる日本でお馴染みの鬼ではなく、広い意味で妖精のような存在とされています。
ゴブリン、コボルト、トロール、オーガ、ノームなどが特に有名ですが、この妖精たちが出てくる音楽作品をいくつかご紹介したいと思います。
ゴブリンは醜く邪悪なイメージで、いたずら好きな妖精と言われています。
チェコの作曲家ドヴォルザークの交響詩《水の精》の英題はWater Goblin (水のゴブリン)で、イギリスのおとぎ話を元にドヴォルザークが作曲しました。
曲の終わりの方でゴブリンがドアをドン!ドン!ドン!と叩く音なども表現されており、描写がなんとも面白くも怖い作品です。
コボルトはゴブリンと似たようなイメージですが、頭が犬だったり爬虫類っぽい?姿で描かれることが多いです。
オーストリアの作曲家ヨハン・シュトラウス2世のポルカ・マズルカ《いたずらな妖精》の原題は《Frecher Kobold (コボルト)》で、「いたずらな妖精」というとお茶目な妖精の姿が目に浮かび、コボルトとはだいぶイメージが違います。
でもこの作品は、ヨハン・シュトラウス2世の曲調らしく、とてもエレガントな雰囲気で書かれています。
トロールは『ハリー・ポッター』や『アナと雪の女王』など、様々な作品に登場していますので、みなさまご存知の方も多いと思います。
イメージとしては、北欧の森に住む毛がモジャモジャの妖精という感じでしょうか。
ノルウェーの作曲家グリーグの劇音楽《ペール・ギュント》では、「山の魔王の宮殿にて」という曲でトロールたちのとぼけたような、でも迫力のある様子が伝わってきます。
ピアノ曲《抒情小曲集》にも「小人の行進 (妖精トロールの行進) 」、「トロルドハウゲン(トロールの住む丘)の婚礼の日」などがあり、いずれも素敵な作品です。
ちなみにノルウェーでは現在でもトロールの存在を信じている人が多いそうで、普段の生活で物が無くなった時など、「きっとトロールのいたずらだね!」と言うほどトロールが浸透していると言われています。
オーガは凶暴な性格を持ち、かなり日本の鬼に近いイメージがあります。
ディズニーの映画『シュレック』ではオーガは本当は心が優しい、という感じで描かれていますね。
イギリスの作曲家フランク・ブリッジのピアノのための《おとぎ話組曲》第2曲には「オーガ(人喰い鬼)」という題名が付いています。
オーガの迫力が伝わってくる曲調ですが、テクニック的には子どもにも弾ける作品ということもあり、そこまで怖いイメージはありません。
この組曲は「プリンセス」「オーガ」「呪文」「王子」の4曲からなり、全体としてはほのぼのした雰囲気の作品で、生徒たちにも人気の組曲です。
最後にノーム。
ノームは小人のようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
身長が12cmほどしかなく、「地の精」と呼ばれています。
ノームを鬼の仲間に入れるのは少し抵抗がありますが、西洋の妖精という意味ではノームも含まれると思います。
M.シュミッツ作曲の《地の精(ノーム)のマーチ》、キャロリン・ミラー作曲の《ノームの行進》は、ノームがトコトコと歩いている様子がよく描かれている可愛らしく音楽的な作品で、幼少期のお子さまも楽しく弾けると思います。
鬼(妖精)をテーマにした曲もあるということを知っていただいたり、ご紹介した作品を聴いて楽しんでいただければ嬉しく思います。
みなさまの元に福がたくさん来ることをお祈りしつつ。