一昨日「午後のピアノトリオ」公演、おかげさまで満員御礼で終えることができました。
音降りそそぐ武蔵ホールは本当に響きの良いホールで、サロンのような雰囲気もありながら天井が高く2階席もあり、ゲネプロではヨーロッパの教会で弾いているような趣きを感じ、ベヒシュタインのピアノも良い弾き心地でした。ベヒシュタインはこれまでにも何度か弾いていてもちろん楽器にもよると思いますが、自分のタッチと相性が良いのかなと思います。
生徒も複数人聴きに来てくれましたが、ヴァイオリンやチェロを目の前で聴く機会は少ないと思うので、弦楽器の音色はもちろんのこと奏で方、弓の動きなど、間近で見て聴いてとても勉強になったのではないかなと思います。特にチェロはピアノでいうと低音部(左手)の表現に直結するものがあるので、「チェロの弾き方、音色、ピッチカート奏法などよく聴いてみてね」と生徒たちには事前に伝えました。
大好きなシューベルトのピアノトリオD898は何度弾いても全4楽章とも絶えず気の抜けることのないテクニカルな大作ですが、弾くたびに「また弾きたい」と思える作品です。ロマンティックになりすぎず重くなりすぎず、快活で軽やかでいながらなめらかに演奏するのが理想です。
即興曲D899-3では祈りをこめて演奏し、Ges-durの主題に戻ってきた時に涙が溢れました。この曲は自分のなかで弾くたびにテンポやニュアンスに変化があり、一昨日もゲネプロと本番ではまったく違う表現になり、本番では自然と天から降りてくる音を紡いでいく感覚で演奏しました。
演奏というのは、ピアノによっても、その場の空間や空気によっても、音色も表現も微妙に変化します。
音楽は固定されたものではなく、生きているものなので。
ご来場くださいましたすべてのお客さま、今回の公演を企画・主催者、ご後援者さまに深謝申し上げます。
6月は二つ公演があり、昨日からそちらの練習に取り掛かっています。音楽とともに過ごせることに感謝しつつ、これからも精進します。
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